補聴器をお求めいただく多くのお客様(当店の場合は高齢の方ということになります)がまずぶつかる障壁がこれ。
「買ったはいいが使わない」
「なんだかチーチーピーピー音がするだけでよく聞こえない」と言って、数日装用しただけで放り出してしまう方もいます。
あまりよく聞こえないならつけなくてもいいや、という理屈ですね。
この問題に特効薬はなく、根気強くご説明するしかありません。
考え方は色々ですが、基本的に初めての方に大きめの音量だと「ワーワーガーガーという音に感じられ、うるさい状態から聞き始める」ことになり、使い続けるのが難しいと思います。
だから特に初めての方には、小さめの音量から使い始めていただくわけですね。
音が聞こえることはもちろん大事ですが、スムーズに取り外しができるか?とかなるべく長時間装用できるか?など、聞こえとは別の問題もあります。
初めての方には「補聴器によく慣れて、まずまずの聞こえになるには3か月くらいはかかります」とお話ししています。
「多くの難聴の方は小さな音ほど聞きにくくなっています」
当たり前ですね。ではこれも当たり前ですが、補聴器はだから小さな音(つまり今まで聞こえていなかった音)を大きくしてくるのです。
今まで聞こえなかった小さな音が補聴器をつけて初めて(というか超久々にというか)聞こえてきます。
小さめの音で出力していますので「はっきりと何の音なのかはわからないが、何かチーチー聴こえる」という程度です。
これを雑音だと考えてしまい、使わなくなるという早合点もあります。
まだ途中なのです。これから様子を見て徐々に出力を上げていこうとしているのですが、これにお付き合いいただけません。
さて、大きな音はどうでしょう。
小さな音とは逆に「十分に大きな音ならば、補聴器はあまり大きくしないで耳に出力する」ということになります。
十分に聞こえる大きさの音をさらに大きくして耳に出力すると「やかましい」ということになります。
小さな音も大きな音も全部ひっくるめて大きくするのは集音器や拡声器のすることです。
補聴器はそんなことはしません。大きな音を常に聞いているのは不快だからです。
しかし初めての方はこれも不満なのです。大きな音にならないという不満を持ちます。
拡声器やテレビのボリュームと同様に考えているのでしょう。
この誤解を解くものなかなか一苦労です。
補聴器を早めに使い始めてほしいのは、軽度のうちなら慣れやすいということがあります。
さらに、頭の中でここらへんをご理解いただくのが年齢とともにどんどん難しくなるからという面もあるのです。
まずは弱めの音で一日中ずーっと装用できる状態を目指していただきたいのです。
それからどんどん調整を繰り返し、うるさくなく快適ではっきりとした音を出す補聴器に仕上げていくのです。どうぞよろしく。(花)
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